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【心理学コラム】春めいた言葉に宿る想い

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こんな方に読んでほしい

  • 勉強の合間に、暇つぶしや息抜きがあるほうがいい方

記事から得られること

  • 「人」に関しての「ふ~ん」「へー」「ほっ」

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小林厚志の「やっぱり頑張ろう」

自称下町心理学者の小林厚志が、身近にあるのに何となく理解し難い「心」「精神」「意識」をテーマに、まるで街ブラかのような感覚で「ふ~ん」や「へー」をお届けします。
お勉強の合間の息抜きに、ごゆるりとお付き合いください。
※学者口調を意識したので敬語が省かれてることをご容赦ください。

2024年は、「3月中に方向性を決めると、秋には実を結び花が咲く」という運気だそうだ。
信頼する占い師からの助言である。

まだ今年の方向性が決まっていない方は、早めに決めるといいだろう。

気が付けば「3月」

「行く逃げる去る」とは、よく言ったものだ。
正月に決めた「今年の目標」にも、進展が見込めず、じれったい季節とも言えるだろうか。

心の世界に携わっていると痛感することの一つだが、
当事者は自身の変化(もしくは成長)に驚くほど疎いものだ。

「ミクロの変化が、マクロで確認できるまでには、時間がかかる」とも言えるだろう。

前向きにコツコツと続けていただきたいものだ。

ともあれ、4月が目の前に迫ると、背筋を伸ばさなくてはならない感覚になることもあるだろう。

私たちは、四季折々に触れ、その都度、独自の感覚を感じている。

このコラムの編集担当者は、行進曲として定番の「天国と地獄」がかかると、運動会のかけっこが想起され、「ビシッとしなきゃ!!進めなきゃ!!」と焦る気持ちになるそうだ。

これに似た感覚になるものは多いだろう。

私にもよく似た感覚がある。

私たちは、特定の刺激に対して、特定の反応(感覚になる)を示す。

「パブロフの犬」という有名な実験を知っているものも多かろう。
私たちの条件付けという学習機能である。

私たちは、想像以上に多くのことを条件付けている。

最も身近で、最もよく使っている条件付けは、「言葉」である。

「3月」「行進曲」は共に英語で「March」という。

この「March」の歴史をさかのぼると、ギリシャ神話のアレスに行き当たる。

ギリシャ神話のアレスは、ローマ神話での軍神マルスである。
もともとは、戦いの象徴から来ていることを考えると、「焦る気持ち」になるのもうなずける。

実は、このような現象を私たちは数多く体験している。
直観には反していることだろう。

「戦いの神」が語源に当たるから「焦る気持ち」が呼び起される
ということは、単なる「こじつけ」のように感じるだろう。

だが、そう考えなくては説明ができないことが、数多く存在していることも事実である。

こんなエピソードがある。

楠木正成(くすのき まさしげ)をご存知だろうか?

鎌倉時代末期から南北朝時代にかけての武将である。

この楠木正成を歌った歌に、「桜井の訣別」

(もしくは、「大楠公(だいなんこう)の歌」)

という、楠木正成とその息子楠木正行(くすのき まさつら)の別れを歌った歌がある。

私の師が、酒をたしなみ羽化登仙、この「桜井の訣別」を歌いだした時のこと。
師の横には、「何の歌?」と首をかしげる若い女性がいた。

この若い女性は、「桜井の訣別」をまったくもって聴いたことがない。
楠木正成のことすらほとんど知らないという。

歌が二番三番へと続いていく。

当然、面白くなさそうに聴いている女性。

その時だった。

急に女性の目からボロボロと涙がこぼれ出した。

「あれ?何これ?え?」と泣いている本人も、なぜ泣いているのか、わかっていない。

ちなみにだが、「桜井の訣別」という歌は、
聴いてもらえればわかるが、メロディーに感動して泣けるような歌ではない。
ましてや、初聴で感情移入することの方が難しいだろう。

歌が四番の途中で終わると若干ひきつけを起こしながら涙を拭う女性。
大泣きと表現できる程の泣きっぷりであった。

そして、涙が治まった後の第一声は、ケロッと垢ぬけた表情で「なんで?」と言った。

周囲にいた私たちは、「なんで?は、こっちのセリフだ!!」という気持ちであった。

師が一言、「魂が反応したな」と。

直観には反していることだろう。

聴いたこともない、思い入れもない、しかも、ショーやステージでもない、
ただの居酒屋での一幕だ。
であるのに、大泣きするという現象である。

魂が反応した、そう解釈するに十分な体験であった。

日本人は、「ありがとう」を二万回唱えると、どんな人でも泣けてくるという

ぜひ試した際は、お知らせ頂きたい。

なぜ「ありがとう」で泣けるのか。
それは、私たちの遺伝子に「ありがとうで感動した記憶」が残っているからだそうだ。

まだまだ賛否両論があるだろうが、
最近の研究によると、日本語というのは、世界最古の言語である可能性が高いとのことだ。

近年の縄文時代(約1万8千年前~約3000年前)の研究により、これまでの古代四大文明(メソポタミア文明・エジプト文明・インダス文明・黄河文明(もしくは中国文明))よりも、遥かに古い日本人の生活がわかってきている。

決して、原始的な暮らしではなかったという見解である。

そして逆に、英語は、人類史の中で、最も新しい言語である。

私たちの長い歴史を踏まえると、日本語はもうすでに體(からだ)に馴染んでいるといえる。

横文字(和製英語など)を並べられると、
「いけ好かない」「しっくりこない」感じを経験したことがあるだろう。

当然、意味が分からなくて「しっくりこない」もあるだろうが、
そもそも意味にかかわらず、體に馴染んでないのである。

そして長い間、「ありがとう」が使われてきた場面は、喜びや感動を伴った瞬間だ。

何万年という時間をかけ、途方もない回数を繰り返し、
喜びや感動の場面で使われてきた「ありがとう」

まさに言霊といえるだろう。

「體に馴染んでいる」もしくは「體が覚えている」何なら「魂に刻まれている」
そんな言葉が「ありがとう」であり「ありがとう」から想起される場面だ。

「ありがとうを二万回唱えると泣けてくる」これは、十分にあり得ると感じている。

語学の天才と称された井筒俊彦氏の著書に触れていると、
言葉という中に、意味が凝縮されていることに気づく。

それは、何気なく言葉を使ってしまうのは、もったいないと思えるほどだ。

人間は、
本性上、存在の無秩序、無意味、混乱には長く耐えられないものであるとよくいわれる。

事実、太古以来、なんらかの形で有意味的な秩序体を作り上げて、それを生存の場としてきた。

ただ、この一見美しく整列された秩序体の底には、異常な緊張が隠されている。

そして、やがて存在の無秩序、混乱を招き、
また、なんらかの形で有意味的な秩序体を作り上げていく。

私たちが辿ってきた道は、決して順風満帆ではないだろう。

ただ、「表も裏も見つめることが、創造性に繋がる」ということは、強く信じる価値がある。

痛みや苦しみから目を背けると、喜びや幸福も感じられなくなる。

3月は成長への種をまく季節。

種は、すなわち「指針」「方向性」であろう。

では、「土壌」「大地」は、というと、歴史や伝統、数え切れぬ程の繋がりといえるだろう。

この豊かな土壌に、種をまき、栄養をもらいながら実をつける。

やがて、花が咲き新しい種ができる。

そして次へと。

ちらほらと咲き出した桜に目を奪われ、

心に浮かぶ想いに耳を傾けると、

「やっぱり頑張ろう」

そう呟いてることに気づくのである。

心の旅は続く…

参考文献:

コスモスとアンチコスモス:東洋哲学のために
(著)井筒 俊彦
https://amzn.asia/d/hKOW1UY

楠木正成 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A5%A0%E6%9C%A8%E6%AD%A3%E6%88%90

桜井の訣別 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A1%9C%E4%BA%95%E3%81%AE%E8%A8%A3%E5%88%A5

参考

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小林 厚志

  • 心理

担当

大阪梅田校

所属

脱サラ後、2016年に渡米、資格取得。大手社会人スクールにてNLP講座など担当。 心理学・心理カウンセリング・メンタルコーチング・コミュニケーション系の講師として登壇。年間登壇数150回以上。 パーソナルサポート事業ではメンタルコーチ/心理カウンセラーとして700件以上サポート。 「柔らかい人柄」と「ええ声」で瞑想ファシリテーターとしても活動。

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