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【心理学】《師走》はなぜ忙しい気分になる?  

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  • 師走に忙しくなる理由と、慌てる気持ちの対処法が分かる

年の瀬も押し迫ってまいりました。

来月はもう2024年ですね。今年やり残したことはありますか?

今年のものは今年のうちに。もういくつ寝るとお正月…

こう言われると、何だか急に気が急いてきませんか?

何かと気忙しいこの時期、そもそもどうして年末は忙しいのでしょうか?色々な角度から考察してみようと思います。

「師走」とは?

12月のことを和風月明で「師走」といいます。これは「師匠といえども趨走(すうそう、走り回る)する月」という意味です。普段どっしりと落ち着いている師匠(お坊さん)であっても、12月のこの時期は檀家さんの家やお墓でお経をあげてご供養をするために、東西を走り回っていることに由来します。

現在では年の瀬にお寺というと除夜の鐘くらいしかイメージにないかもしれませんが、「盆と正月が一緒に来たような」という言葉があるように、昔は年の瀬にもお盆のようにご供養が盛んだったようです。

今でも年末にお墓を掃除したりお正月の花を飾ったりする風習は残っていますね。

「師走」は何故忙しい?

師走の忙しさには、人によってかなりバラつきがあります。

・プライベートが忙しい

年末年始にはクリスマスやお正月とイベントが詰まっています。特にお子さんがいらっしゃる親御さんにとっては、クリスマスは一大イベントです。クリスマス直前に用意しようとすると、お子さんが欲しいものが売り切れてしまっているリスクがあります。

かといって早めに準備すると、クリスマスにはお子さんの欲しいものが変わってしまっているリスクもあります。各ご家庭のサンタさんは、こうしたリスクを天秤にかけながら、内偵・調達・設置をこなさなければなりません。

そうして一安心したのも束の間、すぐにお年玉がやってきます。これに年賀状の準備や大掃除、おせちの用意が加われば、過密スケジュールは極まります。

・仕事が忙しい

多くの職業には仕事納めがありますね。年末年始の休暇に向けて片付けておかなければならない仕事をこなす必要があるため、仕事量は増えてしまいます。

社内の経理担当の方には、加えて年末調整の準備やボーナスを伴う給与計算業務が増えます。フリーランスや個人事業主の方は、確定申告のために年末までの収支をまとめておく必要があります。

他にも飲食業や小売業にとって年末はかき入れ時となるため、繁忙期となります。

こうして見るだけでも師走に忙しくなる職業は多種多様です。

これに挨拶回り、忘年会が加わって、忙しさが加速することもしばしばです。

「師走」が忙しい心理学的な考察

12月が他の月よりも忙しくなりやすい理由をこれまで挙げてきました。

しかし、こうした明確な理由が特にないにも関わらず、年末に何となく気忙しい気分を感じたことは誰にでもあると思います。

こうした心理を考察してみるのに、「ゲシュタルト心理学」を活用してみます。

ゲシュタルトとはドイツ語で「形、形態、形姿」といった意味を持ち、「人間が認識する全体性のある構造のこと」を指します。

簡単にいうと、私たちは物事を一つのまとまりのあるものとして認識したいということです。

例えば、私たちは高い所から景色を眺めるとき、建物がいくつ…と見るのではなく、全体を街の景色として捉えています。こうした認知の法則を「ゲシュタルトの法則」といいます。

また、私たちは未完了の物事を完了させたい(ゲシュタルトに向かいたい)という欲求を持っています。そのため、未完了のものはひっかかりとして私たちの心に残り続けます。

完成直前のパズルのピースが1つ足りないと、とてももどかしい気持ちになりますよね?逆にこの法則を応用して、続きが気になるようなドラマ作りがよくされています。

12月の忙しさは、私たちが1年を1月から始まって12月で完了するものと捉えていて、パズルのピースを埋めるように、全ての物事を完了させ、心残りなく1年を終えたいという心理からくるのかもしれません。

「師走」の気忙しさを緩和するには?

ゲシュタルト心理学から派生した心理療法に「ゲシュタルト療法」があります。

ゲシュタルト療法では「今、ここ」での気づきを重視します。そして「今、ここ」で感じている心や体、思考、現実に関する気づきに焦点を当てたアプローチが行われます。

過去や未来にばかり気がいって、現状を正しく認識できていないと、ますます気持ちが焦ってしまいます。また、無理に落ち着こうとしたり考えないようにしたりするのは逆効果で、余計に焦りは増してしまいます。

まずは自分が今何に焦っているのか、本当に今焦る必要があるのかを立ち止まって考えてみましょう。

また、今できることをこなしていく中で、無理なことは諦めてしまうこともときには必要です。諦めることで一旦ハードルが下がると、気持ちが落ち着いて完了させることができるなんてこともよくあります。


12月はどうしてもタスクが多くなり、気持ちが急いてしまいがちです。しかしそんな時こそ一度立ち止まって一呼吸置き、優先順位を再確認しましょう。

大掃除は難しくても、小掃除くらいなら…できるかもしれません(笑)

そして、年末までに全てを終える!ではなく、旧正月まで…、年度末まで…と、

建設的な先延ばしも場合によっては必要かもしれませんね。

参考文献/URL

『日本ゲシュタルト療法学会』https://www.japangestalt.org/

関 一真

  • 心理

担当

京都四条烏山校

所属

NLP™トレーナー、心理カウンセラー2015年より京都校、大阪梅田校にて心理学系講座を担当。優秀講師賞受賞。個人で心理カウンセラー、占い師としてクライエント様に相談援助を行う。日本語教師資格保有(日本語教育能力検定試験合格)

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