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【心理学コラム】情報溢れる社会ではもうできない?「知らぬが仏」
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心理
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「人」に関しての「ふ~ん」「へー」「ほっ」
シリーズ
小林厚志の「やっぱり頑張ろう」
自称下町心理学者の小林厚志が、身近にあるのに何となく理解し難い「心」「精神」「意識」をテーマに、まるで街ブラかのような感覚で「ふ~ん」や「へー」をお届けします。
お勉強の合間の息抜きに、ごゆるりとお付き合いください。
※学者口調を意識したので敬語が省かれてることをご容赦ください。
蝉の大合唱。
もし蝉語が理解できるとしたら、私たち人間は、この大合唱を聴いていられるのだろうか。
私たちは時に、「意味を知る」と歩みを止めることがある。
快適に住んでいたはずのマンションの一室。
実は過去に殺人が行われた部屋の上の部屋だった。
その日からというもの、夜も眠れず、日中にも怪奇音がする始末…。
この、怖い話のテンプレートのような話は、「意味を知る」と歩みを止める、のいい例である。
楽しく仲睦まじく過ごしていた男女。男が他の女と楽しそうに過ごしている所を目撃する女。
その日からというもの、元の関係に戻ることはなかった…。
このような話も、世の中にあふれかえっているように思う。
「知らぬが仏」とはよく言ったものだ。
世の中の情報の量は、インターネット時代に突入してからというもの、休むことなく増え続けているそうだ。
総務省が公開する資料によると、日本のインターネットトラフィックだけを見ても、新型コロナウイルス感染拡大直前の2019年11月から2021年11月までの2年の間に約2倍に増加した。
世界の情報量(IPトラフィック)は現在と比べ2030年には30倍以上、2050年には4,000倍に達するという予測もあり、社会経済のデジタル化などに伴い、日本でもトラフィックの増加が続くことが見込まれている。
※トラフィック=インターネット接続回線などにおいて、一定時間にネットワークを流れるデータ量
私たちが当たり前のように毎日利用するインターネットやスマホの背景が、このような状態であるならば、「知らぬが仏」の「知らぬ」は、もはや難しい世の中になっているのかも知れない。
「何らかを知る世界」であると解釈する方が自然さを感じる。
私たちはもう「仏」になることはできないのか。
私たちはもう「意味を知り」歩みを止めることになるのだろうか。
最近、ヤフーニュースに『「最古」の墓を発見 初期ヒト属のものか 南ア』という記事が掲載されていた。
偶然にも先日、東京に心理療法の勉強へ行った際の講師も、このニュースに触れていた。
さらに、『アンノウン:洞窟に眠る新たな人類』 というNetflixのドキュメンタリーで取り上げられてることを教えてもらい、早速視聴した。
南アフリカのヨハネスブルク近郊で、初期ヒト属と考えられている「ホモ・ナレディ」による世界最古の「墓」を発見したとする話である。
ホモ・ナレディは脳の容量が小さく、死者を埋葬するなどの「意味付けされた」複雑な活動はできないと考えられてきたため、人類の進化についての通説に疑問を投げ掛けるものとなる。
研究チームは、「現生人類(ホモ・サピエンス)」による埋葬の証拠より少なくとも10万年は古く、「ヒト亜科の記録では最古の墓」としている。
これまでに最古とされている墓は中東とアフリカで発見された約10万年前のもので、ホモ・サピエンスが埋葬されていた。しかし、今回発見した墓は、少なくとも紀元前20万年前にさかのぼる。
研究チームは「今回の発見は、埋葬がホモ・サピエンスなど脳の容量が大きいヒト属だけの慣習ではなかったことを示している」と主張。さらなる分析が必要とした上で、「人類の進化についての理解が改められる」ことになるだろうとしている。
映画スター・ウォーズをご覧になったことがあるだろうか?
ご存じの通り、スター・ウォーズは、ジョージ・ルーカスが製作し、1977年に公開された大ヒット映画シリーズである。
製作したジョージ・ルーカスが明言しているが、この作品は、アメリカの著名な神話学者ジョーゼフ・キャンベルの影響を多大に受けている。
ジョージ・ルーカスが大学でキャンベルの授業をうけて大いに感動し、その英雄伝説の基本構造をスター・ウォーズ3部作にそっくり適用して大成功を収めている。
ジョーゼフ・キャンベルは、神話学上で初めて「英雄」を規定した。英雄とは「生誕の再現」がたえずくりかえされる人間であり、その生命の啓示がカトドス(上り道)とアノドス(下り道)の交差の上に幾度となく成立するような人間のこと、総じては「自力で達成される服従(自己克服)を完成した人間」のことである。
私たちは、本当の意味を知っているのだろうか。
ジョーゼフ・キャンベルは、神話についてこう語っている。
神話とは、精神的な目覚めをもたらす助けになるものと言える。
神話は、人間生活を支えてきたいろいろなテーマとかかわっており、文明を築き、ここ数千年の多くの宗教に生命を吹き込んできた。
神話は内なる経験からくる情報の宝庫であり、人生における内なる問題・内なる謎・内なる出発点の、深い部分と関係している。神話は、言葉による象徴の形をとって、私たちの最奥部とつながっている。そして、私たちが真の自己を回復する旅を成し遂げるまで、神話はその究極の原型構造を通して、私たちに寄り添い続けている。
私たちが自分を勇気づけてくれる英雄を求めるのはそのためである。
旅に出た英雄たちが、自分自身の努力を通して勝利を得るためである。
解決方法は私たちの中にある。
科学技術はわれわれを救いはしない……現代のコンピュータ、機械器具、そんなものは十分ではない。われわれは自分の直観に、自分の真の存在に頼らなければならない。
「知らぬが仏、知っても仏」
夏の風物詩の一つ、肝試し。
稲川淳二の怪談ナイトというイベントをご存じだろうか?
正直ほとんど興味がない。
むしろ、肝試しや怖い話は苦手である。
しかし、このイベントはなんと今年で30周年を迎えるそうだ。
急に興味がわいてきた。
興味のないことに、興味を持つと意味が変わるようである。
蝉はオスしか鳴かない。
そして、蝉には人間のような耳はない。
蝉同士は、発する音(鳴き声)が聞こえているが(届いていると表現するほうが適切か)人間の声を、蝉が聞くことはできない。
蝉に「うるさい!」と言っても無駄であろう。
蝉の大合唱は、生物学上、求愛のためによるものだ。
オスだけが一方的にメスを口説くために鳴いている…。
私もオスであるからか、蝉語が理解できなくてよかったと感じている。
ただし、応援したい気持ちが沸々とわいてきた。
「フォースと共にあらんことを」
暑い一日。
軽いトランス状態を感じながら好奇心の赴くままに。
蝉も頑張っている。
「私もやっぱり頑張ろう」
心の旅は続く…
参考文献・サイトURL
『神話の力』
著者:ジョーゼフ キャンベル,ビル モイヤーズ
https://amzn.asia/d/98E1Kst
小林 厚志
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心理
担当
大阪梅田校
所属
脱サラ後、2016年に渡米、資格取得。大手社会人スクールにてNLP講座など担当。 心理学・心理カウンセリング・メンタルコーチング・コミュニケーション系の講師として登壇。年間登壇数150回以上。 パーソナルサポート事業ではメンタルコーチ/心理カウンセラーとして700件以上サポート。 「柔らかい人柄」と「ええ声」で瞑想ファシリテーターとしても活動。
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