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【心理学コラム】呼吸と感情は繋がっている
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心理
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「人」に関しての「ふ~ん」「へー」「ほっ」

小林厚志の「やっぱり頑張ろう」
自称下町心理学者の小林厚志が、
身近にあるのに何となく理解し難い「心」「精神」「意識」をテーマに、
まるで街ブラかのような感覚で「ふ~ん」や「へー」をお届けします。
お勉強の合間の息抜きに、ごゆるりとお付き合いください。
※学者口調を意識したので敬語が省かれてることをご容赦ください。
心と身体
白湯を飲むとホッとする。
僕の場合、コーヒーよりも紅茶よりも白湯の方がしっくりくる。
昨年、胃腸の調子が悪い日が続いた。
特に、お酒を飲むと胃が張り、重たい感じが数日続くというものだった。
楽観的な性格も手伝って、ただの厄年のせいだろうと思っていた。
今年に入り、趣味でもあるランニングを再開した。
コロナ禍以前は、年二回フルマラソンを走るほど没頭していた趣味だ。
しかし、やらなくなると腰が重くなるもので。
再開にあたって、モチベーションを上げるためにもナイキの靴を新調した。
「心と身体はどのように関係しているのか?」は、心理学にとって長年の関心ごとである。
脳科学や生物学の発展もあり、多くのことが科学的にわかってきた問でもある。
あなたも身近に感じることがあるだろう。
「好きな人が傍にいると普段より頑張れる」(心から身体への影響)
「ストレッチすると気分が落ち着く」(身体から心への影響)
心と身体、どちらが先なのかは、鶏が先なのか卵が先なのかの議論であろう。
ただ、互いに影響を与えているのは間違いないだろう。
心理学者のウィリアム・ジェームズは、こんなことを言っている。
「幸せだから歌うんじゃない、歌うから幸せになれるのだ」
この身体から心へのアプローチは、実際に活用しやすい。
試してみてほしい。
へこんだ姿勢(うつむいて、目はうつろ、肩を落とし、前かがみ)で、楽しいことを考えても、なかなかうまくいかないだろう。
逆に、前向きな姿勢(両手でガッツポーズ、バンザイ、笑顔、立ち上がって、など)で、楽しいことを考えてみる。
先ほどとの違いは顕著に出るだろう。
呼吸と感情
脳の中にある扁桃体という場所は、呼吸と感情の動き(情動)の両方を司っている。
そのため緊張や不安、ストレスを感じると速く浅い呼吸になり、反対にリラックスするとゆっくり深い呼吸になる。
簡単に要約すると、「呼吸と感情は繋がっている」ということだ。
普段、自分の呼吸を意識することをしているだろうか?
個人的なおススメとして、瞑想の習慣があるが、普段全く呼吸を意識してなかった方が、呼吸を意識するようにしただけで、気分が改善したケースは数多くある。
ネガティブな気分に気が付いたら、意識的に深くゆったりした呼吸にするだけである。
近年は、呼吸に特化したトレーニング方法も多く出回っている。
気分良く生きていくために、お気に入りの呼吸法を一つでも用意しておくのは有用かもしれない。
身体から心へのアプローチ
こんな話がある。
私たち人間の身体の機能は、約1万2千年前からほとんど変化していないという話だ。
※人類史においての約1万2千年前は、「サピエンス全史」の著者ユヴァル・ノア・ハラリによると、7万年前の認知革命、500年前の科学革命と並んで、壮大な人類史を決めた農業革命が起きた頃である。
もちろん、話す言葉や経験してきたことは全く違う。
それでも身体の機能は、頭からつま先まで何一つ変わらない。
認知機能や感情も、そっくり同じものが備わっているという。
しかし一方で、生活様式はどうだろう。
ここ100年を見ても激変している。
まして1万2千年前と比べたら、信じられないほどの変わりようだ。
さらに根本的に違うところがある。
1万2千年前にかぎらないことだが、現代人に比べて、原始的な人類は圧倒的にはるかによく動いていたということだ。
理由は単純。
人類の歴史において、ほとんどの時代、身体を動かさなければ食料を手に入れることも、生き延びることもできなかったからだ。
そのため、私たちの身体は動くのに適したつくりになっている。
それは、脳も例外ではない。
1万2千年前というと永遠のような気がするだろう。
しかし生物学的な見地に立てば、それはほんの一瞬でしかない。
どんな種も、進化の過程においては、大きな変化が起こるまでに途方もない年月がかかるという。
それは人類も同じである。
つまり、私たちの脳は100年経っても1万2千年経っても、さほど大きく変化していない。
生活習慣は一変し、その結果、もともと身体が適応していた生活からはますます遠ざかってしまったが、あなたや私の脳は、今もまだサバンナで暮らしている。
そして、私たちが活発に動くことに、頭脳は何より敏感に反応する。
もはや食料を調達するために狩りに出かける必要はなく、 インターネットで注文までできる時代だ。
それでも、ほんの少し祖先の生活に近づけば、つまり身体をもっと動かせば、私たちの脳は、今よりもずっと効率よく働いてくれることだろう。
心のために身体を動かす
どれぐらい身体を動かすのがいいのか?
全く運動習慣がない方ならば、下記の公式が目安となる。
(220-年齢)× 0.7 =
220から年齢を引く、出た数字に0.7を掛ける、その数字が、必要な心拍数だ。
例)41歳
220-41=179
179 × 0.7=125.3(必要な心拍数)
この心拍数が20分程度継続されると脳に変化があるという。
つまり心にもいい影響を与えるということだ。
しかも週に一回でも効果があるという。
この心拍数まで上げる運動の例としては、軽いランニング程度である。
無理に息切れするような運動よりも、少し早めの早歩き程度の運動の方が効果があり、十分にこの心拍数まで上がるだろう。
小走りでの犬の散歩でも達成できるはずだ。
既にお気づきだろう。
心にいい運動とは、心拍数を継続して高めることである。
今のところの研究では、筋トレなどの無酸素運動よりも、緩やかな有酸素運動が効果的だと言われている。
※無酸素運動後、有酸素運動ができるならば、それにこしたことはない。
実際に、北欧などでは鬱病の治療に、こうした運動療法が試され、実績を挙げてきている。
薬の投与よりも圧倒的に再発率が低いことで注目を集めている。
さらに、運動を習慣化している人たちを調べた研究では、集中力向上、情緒の安定、やる気の継続、学習への意欲、学習の理解や記憶など、多くのカテゴリーで優位な数値が出ている。
こういった研究を目にしていると、運動をしないことは、人生を損しているとも思えてくる。
嫌なのは行く時だけ
最近気づいたことがある。
当たり前すぎて気づいていなかったことだ。
ランニングに行く前、必ずと言っていいほど億劫な気持ちになる。
さむい。ねむい。しんどい。ゆっくりしたい。
そして、ランニングを終え家に帰る頃、必ず「やってよかった!!」と思う。
そう、今まで一度も、ランニングをして「やらなきゃよかった」と思ったことがない。
※若いころに調子にのって無理をして、自業自得のケガをした日を除く。
あんなに行くときには、しぶしぶ家を出るというのに。
僕の胃腸の調子が悪かったのは、十中八九運動不足だったのであろう。
ランニングを再開してから、明らかに調子がいい。
身体の調子がいいと、当然気分もいい。
もともとの楽観的な性格も相まって、絶好調と言える。
心と身体、とてもシンプルな関係なのだろう。
新しいNikeの靴を眺めながら
「よし、明日も走ろう」
白湯を飲みながら、
「ゆっくりゆっくり」
ほっこりした気分で、
「やっぱり明日も頑張ろう」
心の旅は続く…
参考文献・サイトURL
一流の頭脳 アンダース・ハンセン (著)
https://amzn.asia/d/5dc6UvU
サピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福
ユヴァル・ノア・ハラリ (著)
https://amzn.asia/d/cNWqina
小林 厚志
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心理
担当
大阪梅田校
所属
脱サラ後、2016年に渡米、資格取得。大手社会人スクールにてNLP講座など担当。 心理学・心理カウンセリング・メンタルコーチング・コミュニケーション系の講師として登壇。年間登壇数150回以上。 パーソナルサポート事業ではメンタルコーチ/心理カウンセラーとして700件以上サポート。 「柔らかい人柄」と「ええ声」で瞑想ファシリテーターとしても活動。
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